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商品開発ストーリー

<後編>成功確率5%。添加物を使わない、飴づくりへの挑戦

<後編>成功確率5%。添加物を使わない、飴づくりへの挑戦

添加物を使わないからこその難しさ

——その後、3回目のテストで無事成功したわけですが、どんな改善をしたんですか?

開発担当:問題点は2点ありました。まず、製造機の水分処理能力が限界だったんですね。通常添加物とかで味付けするので、原料自体の水分量は低いんです。ただ今回は添加物を使わず、柚子の果汁などの天然原料でつくっているので、どうしても水分が多くて。そこで、配合の調整や一部原料をあらかじめ煮詰めておくことで、水分を少し飛ばした状態で製造しました。

2つ目の課題が、センターを入れるのが難しかったこと。これも通常だと増粘剤や水飴を使っていて、センターの粘度を任意で調整可能なんです。今回は、はちみつや麦芽飴などの原料自体の粘度に依存していて、そのコントロールに苦戦しました。最終的には配合の調整や外側の部分を少し柔らかくして、センターを入れやすいよう改良しました。

飴のセンターにとろりとしたレザーウッドハニーを入れ込む工程。出来立ての飴は温度が高く、火傷する恐れもあるほど。慣れたスタッフの方々は飴の粘度や、センターへのはちみつの入り具合を一つひとつ丁寧に確認していた。

高倉:本来だったら原料の前処理はあまりしないんですか?

開発担当:そうですね。例えば今回、柚子の果汁で味付けしたじゃないですか。通常ですとクエン酸や柚子の香料など、水分値がほぼゼロなんですよね。一方、天然の柚子果汁は水分が結構あるので、処理をしなくてはいけません。

原料の計量ひとつとっても、普段よく使うグラニュー糖や水飴は自動でできるのですが、今回は機械で計量できるものが少なく、手作業で計量や仕込むものが多いです。

高倉:最初のラインテストの成功確率は低かったですが、最後のラインテストではどうだったんですか?

開発担当:自信はかなりあって、決める覚悟でやりました。ただそれは、2回目の失敗が大きかったですね。限界が見えたので、逆に改良しやすかった。これまでのテストを振り返ってみれば、よくつくり上げたなと思っています。工場のスタッフも、みんないつも以上に知恵を絞ってやっていたので。ここだけの話、自社商品の開発でも同じことをやってほしいと思ったぐらいでした(笑)。

第2回ラインテストでできた飴。結果として見れば失敗に終わり、当初予定していた販売時期も延期となったが、それでも「だいじょうぶ、次は絶対成功しますよ」と諦めるメンバーはいなかった。
 

——工場のスタッフさんたちが「いつも以上に」取り組まれていたのは、どんなときに感じたんですか?

開発担当:まずラインテストを行った時に、幹部をはじめいつもより多くのスタッフが立ち会っていたんですよね。自社商品のラインテストだと、私と現場のオペレーター程度です。

製造担当:テスト前から工場のスタッフも気になっていたのか、休憩中に「あの飴、どうなったの?」とつくり方や状況を聞いてくるんですよね。そうしたことって、普段あまりないのでちょっとビックリしました。

開発担当:最後のラインテストが成功したとき、製造チームは高倉さんと森さんに「成功しました」と直にメールを送ってましたね。

製造担当:すみません、嬉しくて、つい(笑)。

高倉:実際に私も立ち会った2回目もたくさんのスタッフさんがいましたけど、あれはかなりレアな光景なんですね。そうやって多くの方が気にしてくれたお陰で完成した飴だと思うと、本当に感慨深いです。

多くのスタッフさんがテストに携わってくれていました。

美味しさに、驚いてください

——改めて、完成してみてどうですか?

高倉:本当に感無量ですね。いつもお二人をはじめ、ライオン菓子の方と話をしていると、ありがとうという言葉しか出てこない気持ちになることがあります。異なる会社同士が一つの目標に向けて試行錯誤をしながら形にするって、すごく理想的なコラボレーション。

お互いが本当に全く妥協することなくやれたと言い切れることも、なかなかないんじゃないかな。やっぱり、どちらかが妥協したり、我慢したり。お互いが「つくってよかったな」「いいものができたな」と思えていることが奇跡的だなと思っています。

——いよいよ今年秋に発売もスタートします。お客様の反応が楽しみですね。

高倉:ものすごくこだわったし、ものすごく希少な原料を使ってるんですけど、何よりも美味しいんですよね。だからまずは、この美味しさに驚いてください。

あとはとにかく、ギルトフリー。飴って人によっては、後ろめたい気持ちを感じながら食べることがあると思うんです。砂糖がたくさん入っていて、糖質が気になるとか。後ろめたい気持ちがない飴を、楽しんでいただけたら嬉しいですね。

森:食品なのでまずは美味しくないと、いくら原料にこだわっていても喜んでもらえないとの思いで開発してきました。子ども(※2)から大人まで、すべての世代に自信を持ってオススメできる飴になったと思います。

製造担当:世界的にも希少なレザーウッドハニーをふんだんに使っているので、その美味しさを味わっていただきたいです。

開発担当:食べていただければ、わかりますね。原料もつくり方も、かなり奥の深いストーリーがあるので、食後にパッケージや商品ホームページなどを見ていただくとより楽しんでいただけるかと。そうした奥深さも含めて、食べていただければ、伝わるものが必ずあると思います。

※2:高濃度のはちみつが含まれています。1 歳未満の乳児には与えないでください。キャンディを舐めるときは誤飲に気を付けてお召し上がりください。

聞き手・執筆・撮影:中楯知宏

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