
「さしすせそ」の選び方 +置き換え発酵調味料で、簡単ナチュラルライフのはじめ方オーガニック野菜や果物を毎日揃えるのは大変ですが、お手頃にナチュラルライフをはじめたい方には、調味料の「…

オーガニック野菜や果物を毎日揃えるのは大変ですが、お手頃にナチュラルライフをはじめたい方には、調味料の「さしすせそ」を本物に変えることをおすすめします。
調味料は一度に使う量は少なくても、毎日の食事で繰り返し口にするものです。
選ぶ際には、値段や「天然」「無添加」といったイメージだけでなく、原材料、精製度、発酵・熟成方法、使用量まで含めて選びましょう。
選ぶときの基本は、次の4点です。
●原材料がシンプルである
●過度に精製されていない
●本来の発酵・熟成工程を経ている
●原料の産地や製造方法が明確である
さらに、砂糖を甘麹、塩を塩麹、醤油を醤油麹に置き換えると、麹由来の甘味とうま味を利用でき、腸活にもなる発酵生活も。
ただし、発酵調味料なら糖分や塩分がなくなるわけではありません。
置き換えるだけでなく、使用量を調整することが重要です。

上白糖やグラニュー糖は、ショ糖の純度を高めた精製糖です。
料理に使いやすい反面、原料に含まれていたミネラルや風味の多くは、精製工程で取り除かれています。
毎日使う甘味料は、上白糖だけに頼らず、黒糖やきび砂糖などの精製度の低い砂糖、純粋はちみつ、甘麹などを選ぶのがおすすめです。
おすすめの甘味料
◆黒糖
サトウキビの搾り汁を煮詰めた含蜜糖です。ミネラルを含み、濃厚なコクがあるため、煮物や菓子に向いています。
◆きび砂糖
黒糖よりクセが少なく、上白糖よりコクがあります。幅広い料理に使いやすく、白砂糖から切り替えやすい甘味料です。
◆てん菜糖
穏やかな甘さが特徴です。ただし、商品によって精製度が異なるため、原材料と製造方法を確認しましょう。
◆純粋はちみつ
糖のほか、微量の有機酸やポリフェノールなどを含みます。香りとコクがあるため、少量でも満足感を得やすい甘味料です。
ただし、「はちみつ」という商品でも「加糖はちみつ」「精製はちみつ」と書いてあるものには、水あめ、砂糖、果糖ブドウ糖液糖などがはいっています。「純粋はちみつ」または「はちみつ」を選ぶことが重要です。
※はちみつは、加熱調理しても1歳未満の乳児には与えられないので注意が必要です。
なお、三温糖は茶色くても、一般的には精製後の糖液を加熱して色をつけたものです。色だけで「無精製」と判断せず、原材料と製法を確認しましょう。
砂糖を甘麹に置き換え!
甘麹は米麹の酵素によって米のでんぷんを糖化させた発酵甘味料です。甘味とうま味があり、煮物、たれ、和え物、菓子などの砂糖の代わりに使えます。
GI値の目安
| 甘味料 | GI値 |
| 上白糖 | 111 |
| 黒糖 | 99 |
| きび砂糖 | 104 |
| てん菜糖 | 65 |
| はちみつ | 30~65 |
| メープルシロップ | 55前後 |
GI値は、商品や加工方法、測定条件によって変わります。数値だけでなく、原材料、精製度、使用量を合わせて判断することが大切です。
1日の糖分量の目安
WHOは、砂糖、はちみつ、シロップ、果汁などに含まれる「遊離糖類」を、1日の総エネルギー量の10%未満、できれば5%未満に抑えることを推奨しています。
1日2,000kcalの場合は、次の量が目安です。
・50g未満
・できれば25g未満
・25gは砂糖小さじ約8杯分
黒糖、はちみつ、甘麹にも糖質があり、血糖値を上げる可能性があります。
「よい甘味料だから多く使ってよい」と考えず、素材の風味や麹のうま味を生かして、甘味料全体の使用量を減らしていきましょう。

精製塩と海塩
精製塩は、一般的に塩化ナトリウムの純度が高く、品質が安定し、さらさらして使いやすい塩です。
海水を濃縮して作る海塩には、製法によってマグネシウム、カルシウム、カリウムなどが微量に残り、それが苦味、甘味、まろやかさなどの風味に関係します。
ただし、海塩や岩塩に含まれるミネラル量は、通常の使用量ではそれほど多くありません。ミネラル補給を目的に塩を増やすことは避けましょう。
「天然」「自然」という表示だけで判断しない
「自然塩」「天然塩」と書かれていても、原料や製法はさまざまです。輸入した天日塩を国内で溶かし、海水やにがりを加えて再結晶させた再製加工塩もあります。
選ぶときは、次の表示を確認します。
・原材料名
・原料となる海水や塩の産地
・製造工程
・天日、平釜、溶解、逆浸透膜などの表記
・にがりなどの添加の有無
塩を塩麹に置き換え!
塩麹は、麹由来の甘味とうま味を持つ発酵調味料です。肉や魚の下味、野菜の浅漬け、スープ、炒め物などに使うと、塩味だけでなくうま味も加わります。
味に厚みが出るため、塩だけで味を決めるよりも、使用量を抑えやすくなる場合があります。
ただし、塩麹には相応の食塩が含まれています。市販品は商品によって塩分濃度が異なるため、栄養成分表示の「食塩相当量」を確認してください。
塩を塩麹に替えただけでは自動的に減塩にはなりません。塩麹のうま味を利用し、調味料全体の使用量を減らすことが大切です。
1日の食塩摂取量の目安
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の目標量を次のように設定しています。
| 対象 | 1日の食塩相当量 |
| 成人男性 | 7.5g未満 |
| 成人女性 | 6.5g未満 |
| 高血圧の予防・管理 | 6g未満 |
| 健康日本21の国民目標 | 7g未満 |
高血圧や腎臓病、心臓病などがある場合は、病状や服薬によって適切な量が異なるため、医師や管理栄養士の指示を優先します。 厚生労働省「ナトリウム」
1日3食で考えると、女性の6.5g未満は、単純計算で1食約2gが目安です。ただし、食塩は調味料だけでなく、パン、麺類、漬物、加工肉、練り製品、惣菜などにも含まれています。

酢は、穀物、果実、野菜、糖類、アルコールなどを原料とし、酢酸菌によって発酵させた調味料です。
静置発酵と速醸法
静置発酵は、液面の酢酸菌が空気に触れながら、時間をかけてアルコールを酢酸に変える製法です。発酵・熟成に数か月以上かけるものもあり、酸味だけでなく、うま味や香り、コクを感じやすい傾向があります。
一方、タンク内に空気を送り込み、短期間で発酵させる方法は、すっきりした味で品質が安定し、大量生産に向いています。
時間をかけた製法が必ず栄養的に優れているとは限りませんが、複雑な風味を求めるなら、静置発酵や長期熟成のものを選びましょう。
酢の種類
・純米酢:米由来の甘味とうま味があり、和食全般に使いやすい
・黒酢:玄米や大麦などを原料とし、濃い色とコクがある
・りんご酢:果実由来の香りがあり、マリネやドレッシングに向く
・ぶどう酢:ワインビネガーやバルサミコ酢などがあり、洋風料理に向く
・もろみ酢:泡盛のもろみを利用したクエン酸主体の飲料で、一般的な食酢とは異なる
飲用タイプの酢には砂糖、果糖ブドウ糖液糖、はちみつなどが加えられていることがあります。健康のために飲む場合ほど、糖類とエネルギー量の確認が必要です。
酢の酸味は、塩味の不足を補うため、減塩にも活用できます。
バルサミコ酢を有機植物発酵エキスに置き換え!
有機植物発酵エキスは、ベテランシェフから「まるで20年熟成のバルサミコ酢のよう」と評されたことも。
発酵由来のまろやかな酸味と、いちじくペーストのコク深いうまみが調和しています。サラダやアイスクリームにかけるほか、ローストポークのソースとしても。
ほのかな甘みと爽やかな後味が、料理のおいしさを引き立てます。

本醸造醤油
本醸造醤油は、大豆と小麦に麹菌をつけ、食塩水を加えてもろみを作り、発酵・熟成させます。
麹菌、乳酸菌、酵母などが働くことで、大豆のたんぱく質からうま味が、小麦のでんぷんから甘味や香りが生まれます。
選ぶときは、次の点を確認します。
・「本醸造」と表示されている
・大豆・小麦・食塩を基本としている
・大豆や小麦の産地が明確である
・甘味料、調味料、着色料などの有無
・必要に応じて丸大豆、有機原料、国産原料を選ぶ
丸大豆醤油は大豆を丸ごと使い、比較的まろやかな風味になりやすいとされます。脱脂加工大豆は、大豆から油を取り除いたたんぱく質部分で、うま味を効率よく作りやすい原料です。
丸大豆が必ず優れている、脱脂加工大豆が悪いとは一概にいえません。原料だけでなく、醸造期間や味で判断しましょう。
醤油の種類
• 濃口醤油:幅広い料理に使える一般的な醤油
• 薄口醤油:色は淡いが、塩分が低いとは限らない
• たまり醤油:大豆の割合が多く、濃厚なうま味がある
• 再仕込み醤油:二度仕込みで、濃厚な味と香りがある
• 白醤油:小麦の割合が多く、料理の色を淡く仕上げられる
醤油を醤油麹に置き換え!
醤油麹は、醤油に米麹を合わせて発酵させた調味料です。醤油の塩味に、麹由来の甘味とうま味が加わります。
肉や魚の下味、冷ややっこ、納豆、炒め物、和え物、たれ、ドレッシングなどに利用できます。少量でも味に厚みが出やすいため、醤油をたっぷりかける習慣を見直す方法として有効です。
ただし、醤油麹にも食塩が含まれます。醤油から置き換えただけで必ず減塩になるわけではありません。
「かける」より「少量を和える」「表面に薄く塗る」など、使い方を工夫することが減塩につながります。

味噌は、大豆(または麦)、麹、塩を基本として作られます。
麹の酵素によって、大豆のたんぱく質はアミノ酸に、炭水化物は糖に分解されます。
さらに乳酸菌や酵母が働くことで、味噌特有の香り、甘味、酸味、うま味が生まれます。
天然醸造と速醸
天然醸造は、季節の気温変化を利用し、時間をかけて発酵・熟成させる方法です。
半年から1年以上熟成させる商品もあり、複雑な香りとうま味が生まれます。
多くの一般的な廉価な味噌は速醸です。速醸は、温度管理によって発酵を早め、比較的短期間で仕上げます。品質を安定させやすい一方、長期熟成の味噌とは風味が異なり、旨味を添加物で補っているものも。
選ぶ際は、次の点を確認します。
・原材料は大豆・麹・食塩を基本としている
・天然醸造、長期熟成などの表示
・大豆や麹原料の産地(遺伝子組み換えでないか)
・だしや旨味調味料の添加の有無
・酒精の使用の有無
酒精は、容器内での再発酵を抑えるために使用されます。酒精入りが直ちに体に悪いという意味ではありませんが、発酵が続いている味噌を選びたい場合は、酒精不使用の商品が候補になります。
味噌汁は、だし、きのこ、海藻、香味野菜などを多く使うと、味噌の量を増やさなくても満足感が得られます。
よい調味料を選ぶことは大切ですが、健康への影響を考えると、種類以上に「使う量」が重要です。
・遊離糖類は1日50g未満、できれば25g未満を目安にする
・成人女性の食塩は1日6.5g未満、男性は7.5g未満
・高血圧の予防・管理では食塩6g未満を目指す
・甘麹にも糖質がある
・塩麹と醤油麹にも食塩がある
・発酵調味料のうま味を利用し、調味料全体の使用量を減らす
つまり、調味料を単純に「体によいもの」へ交換するのではなく、素材の味、だし、酸味、香り、発酵のうま味を組み合わせ、砂糖と食塩を自然に減らせる食べ方へ変えていくことが大切です。
食欲の秋、ぜひお試しください!
アンチエイジングフードマイスター 唐澤佐千子